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【第4回】ゆとり教育の問題点

「あーストレスたまる」この言葉を口にしたのは、私の生徒である10歳の女の子です。小学生の口から『ストレス』という言葉が出てきたことに、私は驚きを隠せませんでした。話を聞くと、彼女は現在週2回塾に通い、英会話、ピアノ教室、水泳教室と学校生活外で、多くの習い事をしているとのこと。そのため、あまり遊ぶ時間がなく、家でも学校と塾の宿題に追われる日々であることを話してくれました。

私は、このような多忙な毎日を送る彼女の生活背景には、『ゆとり教育』 が問題となっていると思っています。それは、ゆとり教育がスタートし、学校生活での学習時間は減ったものの、日本社会にある、「学歴が最終的には就職に繋がる」、その構造が変わらない限りは、ある程度の勉強時間、知識を得ることが必要になるからです。

家で親が教えられることは限られているため、塾や家庭教師などの学習機関で学力を伸ばすことが必要になります。しかし、裕福な家庭の子どもは、教育を多く受けられますが、そうでない子どもたちは、学校での勉強がすべてなのです。
ゆとり教育になり、学校での勉強範囲が狭くなったことで、塾に通う子どもたちと、そうでない子どもたちの学力の差が大きくなっています。

私は、現在数十人の小学生に英語を教えているため、生徒からいろんな話を聞きます。グローバル化が進み、小学校から英語教育が始まりました。その結果、英語の需要も多くなってきていますが、英語教室に通っている子どもたちは、英語だけでなく、ほかの習い事をしている生徒が多く、レッスン中に「眠い」と口にする子もいます。
学力を伸ばそうという子どもたちの努力が、結果『子どもらしさ』をなくしているように思われます。

実際に、『ゆとり教育』がスタートしてから、成果は何も見えてきません。「心にゆとりを持たせる」という目的からはじめったゆとり教育ですが、小さい頃にラクをしてしまうと、その後の人生において、取り返しがつかなくなってしまうことも考えられます。

また、ゆとり教育に学校教育は変化したものの、日本の根底にある社会編成を変えていかなければ、意味がありません。
子どもによっては、ゆとり教育になってからの方が、学校外での勉強時間が大幅に増えている場合もあります。

小さい頃の教育が、子どもの将来に大きくかかわります。学校での勉強範囲を狭めている現在のゆとり教育では、日本の子どもたちの学力を上げること、また平等な学力をつけさせることができません。
子どもの学力の差が開くことは、決して日本社会においてメリットにはならないのです。

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